過去に例がないので結論は出ないばかりか、パイプのサンプル
が取れないため、成分がどの様なものか知ることができません。
分光計で調べた結果はこの地球上の物質でないこととパイプは
長い構造のプラスチック樹脂の様だと分かったくらいです。
ノコギリで切れない物質で強力なレーザー光を当てたり各種の
溶剤を塗って反応を調べたりダイナマイトで破壊する試みをしたり、
いずれも失敗だったと報告されました。
天文学者からは遠い上空から降ってくるとだけの発言です。
また宇宙人存在論者から、別の天体から地球を狙ったものだとか
自身たっぷりに論じられました。
洞窟探検家は会議に出席したが、
「私は横穴を探検する者ですので。」と席を外してしました。
専門家会議は長い期間と膨大な予算を使い何も得なかったようです。
いつもの様に外国の対応事例が出てからと役人たちは待ちの姿勢
になり海外の報告はどれも日本と同じだと判ったようです。
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さらに犠牲者は増え続いていたが、あることに気がついた人が
マスコミに取り上げ出しました。
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はじめに庭に丸い穴ができた人からでそれはパイプが鉄を避けて
落ちているとのことです。
偶然にその人の家に3本目のパイプが襲って以前に屋根を貫いた
パイプとの距離を測ると、30センチだったので床下を調べると
30センチ間隔の鉄筋がマス目に入っているベタ基礎の真ん中を貫
いていることが判りました。
気掛かりになり、他の家やビルの状態を調べると全て鉄筋を避け
ていると確信しました。
確かに自動車の中でパイプの攻撃に出会った事故は今の所ない様
です。もし鉄以外のものですとパイプが貫通する可能性が高くなり
ます。とどのテレビ局も取り上げ始めてます。
この報道を受けた政府から前例にない緊急の通達が出ました。
アルミでできている飛行機と電車やバスなどの運行の停止です。
次に大型ビルに対しては鉄筋の詳細なデーターの提出と屋上部分に
鉄筋を敷くよう要請が出ました。
しばらくして、一般国民に対する防護方法が示されました。
外出の際は金網を張った傘をさすこと、と屋根に金網を被せるるか、
寝る際に掛け布団の上に金網を被せる様にと要請が出ました。
国からは金網の購入資金を支給するとの通達まで出す予定でしたが、
しかし官僚からまた自分たちの存在を表したい発言です。
「屋根の材料がトタンかガルバニウム鋼鉄張の家は金網は不要
です。これに大事な補助金を出す必要はないでしょう。」
「補助金は有効活用のためです。なんでも補助金で解決したら
キリがありません。」
「後のために補助金を残すのが使命ではないのですか。」
と、大声でわめき散らし思うと通りの方向に舵を切らたせた結果、
各機関は全国の屋根材の現状を報告することになり、外部を活用
して調査をすることになり結果が出てからの補助金支給が遅れて
犠牲者だけが増加してしまいました。
徐々に金網の防護効果は70%程度であるらしいと判ったが
市中では金網を買い求めるパニックが起きています。
飛行機の対応は時間を要したが機内と翼下に軽量な金網をつけて
飛行許可が出ました。
電車も車内に金網を張る対策で通常運行になりました。
丸い穴の利点もあります。
役員会議の話題は丸い穴の活用だ。
「廃液の処理費用は洗浄水と電気代でそれに24時間体制と設備
維持費用が膨大です。」
と廃液処理部長が報告した。
「それで君の提案はなんだね。」
新米の部長はかしこまって、
「廃液をあの穴に入れてはいかがか。と思うのですが。」
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偉そうに椅子にもたれた役員から
「家でもゴミを穴に入れているようだが、まさか廃液とゴミと
一緒に考えては、君まずいよ。」
今度は社長から
「話はわかるが、うちの規模で穴を使って処分をしている例は
はあるのかね。」
「いえ、まだありません。」
穴の奥行きは地震波なので計測すると100km以上に達して
いるらしいです。
それでいて地下からは水はおろか熱も出たという報告はありま
せん。
丸い穴で産業廃棄物を処分する事例が増え出しました。
あらゆる産業で環境を破壊しないように莫大な費用を投じて処理
していたのがあの穴を利用でき生産コストは急激に下がりました。
そこで慎重だった各電力会社は原子力発電で出る放射線廃棄物
の処理にあの穴を利用する検討に入りました。
丸い穴は安定していて、激しい地殻変動でも今後数万年は変化
がないだろうと結論です。
廃棄物処分を丸い穴に託することになりました。
しかし、パイプの出現は田畑なら影響は限定的ですが、もし川
に丸い穴が出現して流れを吸い込んでしまったどうなるでしょう。
またダムや貯水池だったら水は消えるのでしょうか。
もしも、海に現れたら・・・。
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