第17話 迷い人


暗くなるころに。

 「こちらは警察署です。迷い人のお知らせをします。XXの住まいの

  YYさんが朝から家を出たまま、まだ帰っておりません。お心当た

  りの方は警察署にご連絡くだい。」

 「YYさんの特徴は年齢が70歳、身長168センチ、白髪混じりで

  痩せ型、灰色のジャージを着ています。」

連日夕方になると迷い人の緊急放送が流れます。

 家族の方は心配で警察署に捜索願いをしたのでしょう。

 

これを聞いていた老夫婦は。

 「トーさんより年下ね。昨日の人は見つかったのでしょうね。」

 「まだ若いじゃあないか。」

 「年に関係ないですよ。気をつけてね。」

 「だけど、なんで服装がわかるんだろうね。いないと気がついて

  から家にある服を調べて連絡したのかなあ。」

 「いつも同じものばかり着ているトーさんとは違うのかも。」

 「そうか、これから外出するときは写真を写せば間違いなく探して

  くれるかな。」

 「スマホを持ち歩いていれば位置情報でどこにいるかわかるけど、

  スマホを忘れたら同じじゃあない。」

 「首からスマホをぶら下げて外出しようか。」

 「それより、ドラレコをバッチにしたらどうかしら。

  ドラレコってさあ。車が動いているときに画像を記録する装置で

  しょう。あれを小さくして高齢者に着けるのよ。」

 「いつも監視されるのか。俺はやだなあ。」

 「あらあ、浮気現場が丸見えになるからなの、トーさんはお年だか

  ら心配ないでしょう。」

 



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by;colow.81