第11話 禿げた杭


 65歳以上は高齢者と呼ばれ、75歳を過ぎると後期高齢者にレベルアップします。

 65歳から75歳の間は前期高齢者と定義されているようです。

 さてこの65歳位以上の高齢者の人口は3640万人と全人口の約3割に達しまだ増加しています。

 後期高齢者になると医療保険制度が変わり保険証まで区別されますがどんな特典があるのだろうか。

 *後期高齢者が医者の窓口で支払う額が値上げしたこと。

 *70歳以上だと自転車で歩道を走れること。

   *何も言えない高齢者の年金から吸い上げる計画まだあること。

 この他75歳以上のドライバーを排除したい政策なのか交通事故に関係のないような試験で免許証を取り上げるキャンペーンが実施しています。

 これは時代遅れで世界にない日本独自の政策であり、高齢者を自動車の社会から安全という名で排除する気だろう。

 この他に高齢者では絶対に買えない高価格の全自動運転自動車を世に送り出し、自動車社会から高齢者を遠ざけたいのだろう。

 嫌な世の中になったものです。

 

 さて、日本の産業は世界から取り残されていて、産業分野以外でも先進国と言えない残念な国になってしまった。

 衰退途上国になったのが高齢化が主原因と言われ、高齢者への風当たりだけが厳しい。

 はたして老人を排除することで発展できるのだろうか。日本全土を姥捨山にして老人が死ぬのを待つしか若者の生きる道がないと思えてしまう。

 日本だけが高齢社会ではない、どの国も医学の発展で寿命が延び、これに合わせるかのように出産率が下がり高齢化が進んでいます。

 日本にせっかく訪れた世界的な高齢化社会なら、これから高齢化する他の国に色々と貢献できる物があるだろう。

 例えば電気製品を見ると顕著に現れていて、代表的な電気メーカーは消え、単機能を生かした商品が他の分野から参入している。

 洗濯機で高齢者に必要な機能は洗濯と脱水があれば事足りるが、販売されているものは押しづらくて見にくいボタンばかりでお洒落着洗いなどなどの機能を使うのは若い一部の人に限られているはずです。

 

 今までは多機能で、豪華な装備で飾り立てて、高価で利益を沢山得られる物を日本だけに売っていた考えはもうやめて欲しい。

 株主に対して開発という名目で予算を使い、今ある製品を複雑にして、競合品に立ち向かい勝つことで上司が喜ぶものを作ってきた。

 今ある製品は俺が苦労して作った物だから、違う物を作るのは許せない。もしそれが成功すると俺の居場所がなくなるからと上司は考え自分の思考範囲だけを大切にした結果、複雑な物にしている。

 

 日本には(出る杭は打たれる)の諺がいまだに支配している。

 出る杭を打ち込んで平均化することで命令一つで動かしたのは戦時中のことで、命令で動く兵士を量産化した結果でしかない。

 みんな違ってて当たり前だが、兵士の身勝手な行動は死を意味する。

そこで出過ぎた者には厳しく当たるのが習慣になった。

 

 幼い頃からこの世界で生きてきたが、人と違うことをやるとその度ごとに怒られた記憶がまだある。

 おそらく今でもアイデアを出すと上司から「それは分かっているけど。」と反対の言葉を聞かされて2度と提案したくなくなる。

 それでも怯まないで再提案を続けると、子会社か地方へ飛ばされる左遷の道が待っているのが現実だ。

 それよりも上司にゴマをすり、忖度し、ゴルフを付き合い、茶坊主の様にヘコヘコすれば出世できる世界が存在しています。

 定年までは変な提案はしないで、そっと生きていれば退職金は出るし、うまくすると出世してしまうのが日本の会社の仕組みですね。

 出過ぎる杭になれば誰も打ち込めないし、世界が認めてくれる。

 

 いまでも稲作と同じで競合他社を見習っていれば生きて行くだけの利益が出る。しかし世界は稲だけでない相手をするにはこれは通じないで破綻しかない。

 利益のためならと社内テストを縮小してしまえという考えが今も行われている。がその結果は後始末に莫大な金を使い果たし、信用がなくなり元も子もないのが現実です。

 

 新しいアイデアを出す能力は存在しているが、出る杭に栄養を与える力が残っていない日本では出る杭は海外に救いを求めて出て行くしかない。そこは中国か米国などですね。

 嬉しいことに出たい杭の若者が自力で発展し出した。

 

 さてここで高齢者向けの品物を提案して行こう。禿げた杭は生き残っている。そんな杭を打つ人もいないのが残念だ。もし禿げた杭を打っても滑ってしまう。

 このショートショートに気がつく経営者は皆無だろうが、何もしないよりは誰かが読んで実現してくれるか、わずかな望みだ。

 高齢者の特性だが本やネット上では実感できない。それは高齢者しかわからないし、わざわざ新しい高齢者向けの提案をしても取り扱ってくれないのが事実だ。

 高齢者でない若者がいくら考えても高齢者用の製品は絶対に生まれてこない。厳しい日本になったものだ。

 高齢者諸君、早まるな、禿げた杭が生かされる時代はこれからだ。

 



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by;colow.81